2026年1月に厚生労働省から、 令和8年度(2026〜2027年度)の年金額改定 が公表されました。
これは、 中小企業の人件費・従業員支給額・総務・労務管理にも影響する重要な内容 です。社労士としての視点から、わかりやすくポイントを整理しました。


1. 年金額が再び引き上げに

令和8年度の年金額は次のように改定されます。

・ 国民年金(基礎年金) → 前年比 +1.9%
厚生年金(報酬比例部分) → 前年比 +2.0%

これは、前年の物価・賃金の変動を踏まえたもので、 4年連続での改定・増額 となる見込みです。

✔ 年金額が増えるということは、 受給者の生活所得が相対的に上昇 する反面、企業側としては後述する費用面にも注意が必要になります。


2. 在職老齢年金の支給停止調整額が大幅アップ

特に注意しておきたいのがこちらの変更です。

在職老齢年金の支給停止調整額 → 51万円 → 65万円へ大幅引き上げ

➡ 在職老齢年金制度とは?
65歳以上で働きながら年金を受け取る仕組みですが、 収入が一定額を超えると年金が減額・停止される制度 です。

✔ 調整額が大きく引き上げられたことで、
65歳以上の従業員の働き方設計
役員報酬やシニア雇用の給与設定
などに影響が出てきます。


〇 なぜこの改定が行われるのか?

年金額改定は、

✔ 物価変動
✔ 名目賃金の変動
✔ 労働人口や平均寿命などの社会情勢

を反映して行われます。
令和8年度では、名目手取り賃金の伸びを重視した基準になっており、結果として 年金額の引き上げが決定 されています。


〇 人事総務担当者・経営者が今すぐ押さえるべきポイント

① 従業員の総支給額への影響

年金額の上昇は、社会保険料率や企業保険料負担に直接影響するわけではありませんが、
従業員が受け取る実質的な所得感
年金受給後の働き方の選択肢

に影響します。

➡ 高齢従業員の働き方・給与体系の見直しにつながる可能性があります。


② シニア雇用設計の再検討

支給停止調整額が 65万円に上がる ことで、

✔ 65歳以上の従業員の月収設計
✔ 報酬設定と年金受給の最適化
✔ シニア採用の労務管理

などを再検討する理由になります。

〇例えば、月収を調整して年金受給とバランスを取ることで、
高齢社員のモチベーション向上
企業側の人件費の最適化
につながることもあります。

これまで在職老齢年金の支給停止額を考慮し役員報酬や給与額を決定(年金が支給停止にならない額)、それに見合う働き方(業務内容、労働時間、休日等)を設定していた場合、前提条件である支給停止額が変わったことで、報酬額と働き方(業務内容、労働時間、休日等)の再検討となることが考えられます。


③ 社労士に相談する価値

改定は今後の経営判断に影響します。
✔ 年金受給後の雇用設計
✔ 労働契約書の見直しや就業規則(賃金規程や人事規程など)の見直し
✔ 65歳以上の賃金モデルの再検討
上記は、専門家である社労士による最適な設計を相談する価値が高い 内容です。


まとめ:今が“準備の分岐点”

✔ 年金額が引き上げられる
✔ 在職老齢年金の調整額が大きくなった
✔ 高齢者労務管理・採用設計が変わる可能性大

これらは単なる数字の話ではなく、 企業の人事戦略を左右する重要テーマ です。

FAQ

年金額が上がることで、会社の社会保険料負担は増えますか?

直接的には増えません。
今回の年金額改定は「支給額」の見直しであり、健康保険料・厚生年金保険料率そのものが上がるわけではありません。ただし、高齢従業員の賃金設計や働き方の見直しが必要になるケースはあります。

在職老齢年金の支給停止調整額が65万円になると、何が変わりますか?

65歳以上の社員が“年金を減らされずに”働ける範囲が広がります。
これまでより高い給与を支払っても年金が減額されにくくなるため、
✔ シニア人材の活用
✔ 役員・顧問契約の報酬設計
がしやすくなります。

中小企業は今回の改定にどう対応すべきですか?

65歳以上の雇用・報酬設計を一度見直すことが重要です。
特に、
✔ 継続雇用制度
✔ シニア社員の賃金水準
✔ 年金と給与のバランス
については、社労士と一緒に整理することで人件費最適化と定着率向上につながります。

詳細はこちら

<令和8年度の年金額改定について>
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000191631_00020.html

ドリームパーソル社労士事務所
代表 野田 千秋

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