── 社労士が解説する“中小企業の実務対応ポイント” ──
2026年2月10日、厚生労働省が法律に基づく新たな安全衛生指針
「高年齢者の労働災害防止のための指針」が正式に公示されました。
この指針は、改正された労働安全衛生法に基づき、2026年(令和8年)4月1日から適用されます。
高年齢者の雇用が進む中で、従業員の安全確保は経営リスク管理の核心です。
中小企業経営者の皆さまが今すぐ理解すべきポイントを、社労士の視点で整理しました。
なぜこの指針が今必要になったのか?
日本は65歳以上の就労が進んでおり、労働災害の中でも高年齢者(おおむね60歳以上)の割合が増加傾向にあります。
高年齢労働者は身体的な変化や反応速度の低下などにより、転倒、腰痛、疲労蓄積型の事故リスクが高いとの分析もあります。
そこで厚労省は、従来の「エイジフレンドリーガイドライン」から一歩進め、法律に基づく公的な指針として提供することにしました。
指針のポイント
この指針は法律による努力義務として事業者に示されていますが、実務的には「やらなければならない管理レベル」として理解しておくべき内容です。
1.高年齢者の特性に応じた作業環境の改善
・作業場の段差・照明・動線を見直し
・暑熱・寒冷環境に配慮した対策
・作業の負荷や姿勢の負担軽減 …など
高年齢者の体力・感覚に合わせた対策が求められます。
2.作業管理と健康状態の把握
・健康診断データの活用・個別傾向の把握
・休憩の設定、作業時間の調整
・ヒヤリハット等の記録と分析
“個別対応”がリスク低減に直結するという点は、企業安全管理の基本です。
3.事業者と労働者の連携・教育
単なる注意喚起ではなく、
・安全教育の充実
・労働者との双方向コミュニケーション
・労災防止に向けた協議体制の整備
を通じて、現場理解を深めることが重要です。
4.外部支援の活用
この指針では、国や労働災害防止団体、産業保健機構などの支援制度や専門機関との連携活用も明示されています。
中小企業にとって、外部のノウハウを取り入れることで費用対効果の大きい安全対策が実現できます。
法的義務と実務対応の違い
この指針自体は「努力義務」として明示されていますが、それを支える法律(労働安全衛生法)が改正されている点に注目です。
現場の安全管理責任として経営者が対応すべき具体的な行動は、「労働安全衛生法に基づく安全配慮義務」へと直結していきます。
中小企業が「今すぐできる」実務アクション
以下は、すぐにでも取り組める現場対応です:
✔︎ 高年齢労働者リストの作成・リスク評価表の整備
60歳以上の従業員について、
・作業内容
・健康状態
・過去災害傾向
などを可視化することで対策立案が容易になります。
✔︎ 作業現場の“危険ポイント”チェック
転倒リスク、重量作業、狭い動線、暑熱環境など、
高年齢者にとって負担が大きい場所を優先的に改善しましょう。
✔︎ 安全教育・健康教育の定期化
60歳以上を対象とした事故防止研修を定期開催し、その履歴を社内文書として残すことが重要です。
✔︎ 社内ルールに指針対応を明文化
就業規則・安全衛生規程に指針対応のチェックポイントを落とし込み、“経営責任としての安全管理”を強化しましょう。
まとめ:中小企業が取るべき戦略
- 指針は法令対応のスタート地点。
- 具体的な対策は現場の安全配慮義務へ直結。
- 定量的なリスク評価が事故ゼロの鍵。
この指針は単に“文書を読むための指針”ではなく、安全配慮義務を実行するための運用設計の羅針盤です。
事業者と労働者の連携・教育を社労士も交えて仕組み化することで、事故リスクを減らしながら労働生産性を高めることが可能です!
詳細はこちら
<「高年齢者の労働災害防止のための指針」について(公示)>
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/anzen/newpage_00010.html
ご相談・お見積りは無料です
人事労務支援からコンサルティングのご相談まで、
どうぞお気軽にご連絡ください。




