「うちは毎月きちんと給与を払っているから大丈夫」
そう思っている経営者の方も多いのではないでしょうか。
しかし、厚生労働省が公表した令和7年の監督指導結果によると、全国の労働基準監督署が取り扱った賃金不払事案は22,605件、対象労働者は173,016人、金額は約128億5,782万円に上りました。
さらに、監督署の指導によって解決されたものは、21,731件(96.1%)、対象労働者167,828人(97.0%)、金額約109億9,703万円となっています。
「わざと払っていない会社」だけの問題ではありません
賃金不払というと、
「経営者が意図的に給与を払っていない」
というイメージを持つかもしれません。
しかし、中小企業ではむしろ、
- 固定残業代の計算が実態と合っていない
- 休日・深夜労働の割増賃金が正しく計算されていない
- 勤怠記録と給与計算が一致していない
- 休憩時間の扱いが実態と異なる
- 最低賃金を下回っている
- 手当の扱いを誤っている
など、「知らないうちに未払い賃金が発生している」ケースにも注意が必要です。
経営者が今、一度確認したい3つのポイント
① 勤怠と給与計算は一致していますか?
タイムカードや勤怠システム上の労働時間と、実際に給与計算へ反映された時間を確認しましょう。
② 固定残業代は適正ですか?
「固定残業代を払っているから残業代は大丈夫」とは限りません。
固定残業代を超える時間外労働が発生した場合などには、追加の割増賃金が必要となるケースがあります。
③ 「昔からこの計算方法」は危険です
給与計算は、会社設立時や制度導入時に正しくても、最低賃金・働き方・賃金制度・法改正などの変化によって、現在の運用が適切とは限りません。
「未払いがない会社」ではなく「未払いを発見できる会社」へ
今回の数字から経営者が考えるべきことは、
「うちの会社は未払いがあるか?」
だけではありません。
むしろ重要なのは、
「未払いが発生していないかを、会社として定期的にチェックできているか?」
という視点です。
賃金は、従業員との信頼関係に直結します。
小さな計算ミスでも、退職時や労働トラブルをきっかけに過去分まで問題になる可能性があります。
だからこそ、給与計算を「単なる事務作業」ではなく、会社を守る重要な労務管理の仕組みとして考えることが大切です。
経営者の皆様へ
「給与は毎月払っているから問題ない」
ではなく、
「正しい金額を、正しい計算方法で支払えているか?」
一度、給与計算と勤怠管理をチェックしてみてはいかがでしょうか。
参考資料
<賃金不払が疑われる事業場に対する監督指導結果(令和7年)を公表します>
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_75588.html
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