令和8年6月30日、首相官邸で「第6回 日本成長戦略会議」が開催され、政府は「日本成長戦略(案)」を公表しました。
今回の成長戦略では、日本経済の持続的な成長を実現するため、次の3つの柱が示されています。
- 17の戦略分野を中心とした官民連携による危機管理投資・成長投資の推進
- 国内投資を全国へ拡大するための8つの分野横断的課題への対応
- 未来への投資拡大の実現
この中でも、中小企業経営者が特に注目すべきなのが、「賃上げ環境の整備」です。政府は最低賃金の引上げ目標について、これまでよりも実現時期を明確に打ち出しました。
最低賃金1,500円の実現時期がより明確に
今回の成長戦略では、最低賃金について次のように示されています。
2020年代に全国平均1,500円という高い目標の達成に向けて取り組み、遅くとも2030年代前半のできる限り早期に全国平均1,500円を実現する。
これまでの目標を維持しながら、「遅くとも2030年代前半」という期限が明記されたことで、今後も最低賃金の引上げが継続的に進む方向性が、より明確になりました。
中小企業への影響は「最低賃金」だけではない
「最低賃金が上がる」というニュースだけを見ると、
「人件費が増える」
という印象を持たれるかもしれません。
しかし、本当に注目すべきなのはそこではありません。
政府は最低賃金の引上げとあわせて、
- 労働生産性の向上
- 価格転嫁の推進
- 中小企業の投資促進
- DX・AI活用
- 人材育成
を一体で進める方針を示しています。
つまり、
「賃上げできる企業づくり」が国の方向性なのです。
賃上げだけでは人は定着しない
社労士として多くの企業をご支援する中で感じるのは、
給与を上げるだけでは、人材は定着しない
ということです。
現在の求職者や若手社員が企業に求めているのは、
- 成長できる環境
- 公平な評価制度
- キャリアアップの仕組み
- 働きやすい職場
- 経営理念への共感
といった、「働き続けたいと思える環境」です。
賃上げは重要ですが、それだけでは人材確保・定着という課題は解決できません。
これからの経営は「生産性向上」がカギ
最低賃金の引上げに対応するためには、人件費を抑えることではなく、
一人当たりの付加価値を高める経営が重要になります。
例えば、
- AIやDXの活用による業務効率化
- ムダな業務の見直し
- 職務の明確化
- 人事評価制度の整備
- 社員教育・リスキリング
など、「人への投資」と「業務改善」を同時に進めることが、持続的な賃上げを実現する近道です。
私たちが支援できること
最低賃金の引上げが続く時代だからこそ、社労士の役割も大きく変わっています。
これからは、
- 賃金制度の見直し
- 人事評価制度の構築
- キャリアプランの策定
- 職務分析・職務評価
- 就業規則の整備
- 労務DXの推進
- 採用・定着支援
など、人事・労務を経営戦略として設計することが求められます。
「人件費をどう抑えるか」ではなく、
「人への投資で企業価値をどう高めるか」
という視点が、これからの中小企業経営には欠かせません。
まとめ
今回の「日本成長戦略(案)」は、最低賃金1,500円の実現時期をより明確に示すとともに、賃上げと生産性向上を両輪で進めるという政府の強い方針を打ち出しました。
今後、中小企業には、
- 生産性向上への投資
- 人材育成の強化
- 公平な評価制度の整備
- 持続可能な賃金制度の構築
がこれまで以上に求められます。
最低賃金の引上げを「コスト増」と捉えるのではなく、会社の仕組みを見直し、企業価値を高めるチャンスとして活用することが、これからの成長につながるでしょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. 最低賃金はすぐに全国平均1,500円になりますか?
A. いいえ。政府は「遅くとも2030年代前半のできる限り早期」に全国平均1,500円を目指す方針を示しており、今後も段階的な引上げが想定されています。
Q2. 中小企業は何から取り組むべきですか?
A. 賃上げだけでなく、生産性向上や人材育成、人事評価制度の見直しを進めることが重要です。持続可能な賃上げには、付加価値を高める経営が欠かせません。
Q3. 社労士に相談するメリットは何ですか?
A. 賃金制度や評価制度の見直し、就業規則の整備、人材育成・定着支援まで一体的にサポートを受けることで、賃上げ時代に対応した強い組織づくりを進めることができます。
参考資料
<第6回 日本成長戦略会議>
資料:https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/nipponseichosenryaku/kaigi/dai6/gijishidai.html
首相コメント:https://www.kantei.go.jp/jp/105/actions/202606/30seichyou.html
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