中小企業が賃上げ・生産性向上・労務管理を同時に実現する戦略

令和8年度の業務改善助成金は、経営基盤の整備&持続可能な賃金引上げを両立する制度になっています。

但し、助成金申請の前提条件として、日頃の労務管理が適正に行えているか、今一度、自主点検をしておきましょう。

以下、特に重要となる点検箇所を記載いたします。


① 令和8年度「業務改善助成金」のポイント

業務改善助成金は「最低賃金を一定額引上げる」ことを条件に、生産性向上に資する設備投資等の費用を助成する制度です。

令和8年度は、賃上げ額の区分が従来よりシンプルになり(例:50円/70円/90円など)、昨年度より高い賃上げを促す方針に再編されています。


② 必ず整えるべき労務管理5点

助成金申請以前に、以下の労務体制が整っていることが前提です。
※以外と見落としている企業もありますので、今一度、自社の労務管理が適切か確認してください。


1. 最低賃金を満たす正確な給与計算

・時給換算や最低賃金判定の計算根拠が適法か

・端数処理は適切か

※最低賃金遵守は根幹です。


2. 労働条件通知書の整備

法令上対象となるすべての労働者へ、労働契約内容を書面(紙or電子)で明示していますか?
特に賃金計算に関係する以下の箇所は重要です。

  • 労働時間・休日・賃金
    上記は、最低賃金計算に直結します。必ず確認しましょう。
    ※上記以外にも、法定により記載すべき項目が定められています。

3. 就業規則や協定書について

就業規則等は単に存在すればOKではなく、実際の労務管理の運用と一致していることが大前提です。

注意点:

  • 法定労働時間・割増賃金
  • 変形労働時間制の届出とその内容
  • 基本給・手当の定義と支給条件

※書類に不備があると、賃金未払いのリスクが高まります。


4. 勤怠管理は適切か

業務改善助成金は、賃上げすることに対する助成金ですので「賃上げ前後の労働時間管理の適切さ」はとても重要です。

以下が必須チェック項目です:

  • 出退勤管理(始業、終業、休憩、出勤日数、実働時間、時間外労働時間など)

※曖昧な勤怠管理は、賃金未払いのリスクが高まります。


5. 所定労働時間・年間総労働時間の整合性

就業規則や会社カレンダーに基づく年間所定労働時間と実際の働き方が一致しているかを確認します。
これは最低賃金計算や賃上げ後の継続可能性にも直結します。

たとえば:

  • 会社カレンダーの年間休日数の明示
  • 年間総労働時間と月給者の時給換算根拠
  • 変形労働時間制のルール整備(届出・労使協定)

に不備がないかチェックしましょう。


③ 生産性向上投資は「説明可能性」が決め手

令和8年度の業務改善助成金は、単なる設備導入より「生産性向上の成果」を数字で示せることが鍵です。
ただ導入するだけではなく、以下のような具体的効果を計画書に落とし込みましょう

投資例と成果の数値化

  • RPA導入による定型作業時間の削減 → 月▲△時間
  • POSレジ/受注在庫管理システム導入 → バックオフィス工数▲%
  • デジタル化によるミス削減 → 作業ミス回数前年比▲%

これらは、助成金審査で評価される重要な根拠です。数値で示せるほど説得力が上がります。


④ 計画書作成(交付申請)と申請スケジュール管理

助成金申請は、計画書(交付申請)のスケジュール管理と内容の精度によりその後の進行のスムーズさが大きく異なります。

チェックポイント

✔ 賃上げ額区分(例:50円・70円・90円)
✔ 投資内容と業務効率化の因果関係
✔ 導入後の効果測定と目標設定
✔ 従業員数・対象者の根拠説明

助成金は申請時期制限があり、期限が近付くに連れ駆け込みが増えます。早めの計画策定を心掛けましょう。



まとめ

助成金活用はゴールではなく、会社を良くするための入口。
業務改善助成金は、賃金引上げ・生産性向上・労務管理の3要素を同時に満たす必要があります。
助成金を上手に活用しながら、普段からの労務管理を盤石にすることで、ゴールである経営基盤の強化につなげていきましょう!

ドリームパーソル社労士事務所
代表 野田 千秋

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