令和7年度 地域別最低賃金 岐阜県では1,065円とする答申を労働局へ提出
令和7年8月4日に開催された「第71回 中央最低賃金審議会」で、今年度の地域別最低賃金額改定の目安について答申が取りまとめられ、その内容が厚生労働省から公表されました。
【答申のポイント】
◆ランクごとの目安
各都道府県の引上げ額の目安については、Aランク63円、Bランク63円、Cランク64円。
注.都道府県の経済実態に応じ、全都道府県をABCの3ランクに分けて、引上げ額の目安を提示しています。
現在、Aランクで6都府県、Bランクで28道府県、Cランクで13県となります。

※ランクごとの加重平均は、Aランク5.6%、Bランク6.3%、Cランク6.7%
◆岐阜県内 1,065円とする答申を労働局へ提出
岐阜県内の労使の代表委員などが話し合う審議会は、8月21日、時給を現在の1,001円から、目安よりもさらに1円高い64円引き上げ、1,065円とする答申をまとめ、岐阜労働局長に提出しました。この引き上げ額と引き上げ率は、今のかたちで最低賃金が示されるようになった平成14年度以降で最大、新しい最低賃金は、10月18日から適用される見通しとなっています。また、愛知県内の最低賃金も8月21日、1,140円で 審議会は答申を提出し、63円増(5.85%増)で過去最高となる見通しです。
◆全国的な動向
仮に目安どおりに各都道府県で引上げが行われた場合、令和7年度の地域別最低賃金額の全国加重平均は1,118円となります(現在1,055円)。
これを、地域別にみると、最も高い東京都が1,226円(現在1,163円)、最も低い秋田県が1,015円(現在951円)となり、初めて、すべての都道府県で1,000円を超えることになります。
今後は、各地方最低賃金審議会で、この答申を参考にしつつ、地域における賃金実態調査や参考人の意見等も踏まえた調査審議の上、答申を行い、各都道府県労働局長が地域別最低賃金額を決定することとなります(適用は、令和7年10月頃から)。
なお、昨年度は、目安を上回る改定が相次ぎ、全国加重平均は、目安では1,054円でしたが、実際には1,055円に引き上がりました。岐阜県内では既に目安より1円高い答申の提出がなされており、全国的にも目安は決定されましたが、今後の動向に注目です。
◆政府目標と今回の最低賃金額の動向について
最低賃金改定は国策とも言える重要なテーマとなっています。政府の掲げる目標は2035年までに地域別最低賃金を全国加重平均で1,500円、さらに2029年までに1,500円への引き上げを努力目標と掲げています。2035年までに全国加重平均1,500円へは平均3.4%の引き上げで十分ですが、2029年の中間目標に向けては年8.5%程度の引き上げが必要で、今回の5.6%~6.7%の引き上げは概ね政府目標と一致しています。最低賃金額の引上げは2035年まで国策として既にレールに敷かれており、今後もこの傾向は続くものと考えられます。
◆経営者・人事労務担当者が留意すべきこと
令和7年10月改定に向け、今から時給制従業員は勿論のこと、月給制従業員も含め最低賃金を下回らないか確認が必要です。また、全体的なバランスも考慮しつつ個別従業員の賃金額の確認を行う必要があります。賃金改定者へは労働条件通知書の更新準備も必要です。その他、前年度の残業時間などを考慮すれば増加すべき残業代や総額人件費への影響が試算できます。経営への影響がどの程度になるかを考慮の上、場合によっては賃金カーブの見直しなど、抜本的な賃金制度改訂を行う時期に来ているのかも知れません..
■参考リンク
<令和7年度地域別最低賃金額改定の目安について>
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_60788.html
〔参考〕決定された目安について、石破総理の会見がありますので参考までにURLを紹介します。
<最低賃金引上げに関する目安についての会見>
https://www.kantei.go.jp/jp/103/statement/2025/0804bura.html
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