「男性社員が育児休業を取得したいと言ってきた。」
「制度はあるけれど、実際には取得しづらい…。」
このような悩みを抱える中小企業経営者は少なくありません。
一般財団法人 労務行政研究所が実施した「企業における人事労務関連制度の実施状況」の調査では、上場企業等の49.3%が男性社員の育児休業取得促進に取り組んでいることが分かりました。
また、テレワーク導入率73.2%、ハラスメント対策研修81.2%、内部通報制度93.3%など、人材確保と定着を見据えた制度整備が着実に進んでいます。
この調査から読み取れることは一つです。
「採用競争」は、給与だけではなく、働きやすさや働き続けられる環境で競う時代へと変わっているということです。
人手不足時代の採用競争は「制度の質」で決まる
少子高齢化が進み、採用市場はますます厳しくなっています。
求人広告を出しても応募が少ない。
採用しても数年で退職してしまう。
こうした状況の中で、求職者が企業を見る目も変わっています。
今の求職者が重視するのは、
- 給与
- 休日
- 福利厚生
だけではありません。
近年では、
- 育児と仕事を両立できるか
- 柔軟な働き方ができるか
- ハラスメント対策が整っているか
- キャリア形成を支援してもらえるか
といった「働き続けられる環境」が企業選びの重要な基準になっています。
男性育休は「福利厚生」ではなく「経営戦略」
男性育児休業というと、
「うちは人数が少ないから難しい。」
という声をよく耳にします。
しかし、社労士として多くの企業を支援してきた経験から言えることは、
男性育休を取得できる会社ほど、人材定着率が高いということです。
その理由は、
育児休業制度そのものではなく、
「社員を大切にする会社」という企業文化が評価されているからです。
調査結果から見える「選ばれる会社」の共通点
今回の調査では、育児休業だけでなく、多くの制度が整備されていることが分かりました。
例えば、
- テレワーク導入率 73.2%
- ハラスメント対策研修実施率 81.2%
- メンタルヘルス相談窓口設置率 76.8%
- 定年後再雇用制度導入率 90.3%
これらは一見すると別々の制度ですが、
共通していることがあります。
それは、
「社員が安心して長く働ける環境をつくる」
という考え方です。
社労士が考える「本当に必要な制度」とは
制度を増やすことが目的ではありません。
重要なのは、
制度が実際に利用されているかどうかです。
例えば、
育児休業制度があっても、
「取得したら評価が下がる。」
と思われている会社では意味がありません。
テレワーク制度があっても、
「使いづらい。」
では定着にはつながりません。
制度は、
"あること"ではなく、"使えること"
が重要なのです。
中小企業が今すぐ取り組むべき5つのポイント
① 男性育休を取得しやすい職場風土をつくる
取得実績があるだけで、求職者への安心感は大きく変わります。
② 管理職への教育を行う
制度を運用するのは管理職です。
育児との両立支援や多様な働き方への理解を深めることが重要です。
③ 人事評価制度を見直す
育休取得や短時間勤務によって不利益な評価にならないよう、役割や成果を重視した評価制度を整えましょう。
④ 定期面談を実施する
育児や介護などライフイベントを迎える社員ほど、悩みを一人で抱えがちです。
定期的な対話が離職防止につながります。
⑤ 「採用」ではなく「定着」に投資する
採用コストは年々上昇しています。
今いる社員が辞めない会社づくりこそ、最も費用対効果の高い採用戦略です。
社労士・採用定着コンサルタントとして伝えたいこと
今回の調査を見て改めて感じたのは、
企業が競争しているのは、
商品やサービスだけではない
ということです。
これからは、
「働きたい会社」「働き続けたい会社」であることが、企業の競争力になります。
男性育休、テレワーク、ハラスメント対策、メンタルヘルス支援などは、単なる福利厚生ではありません。
これらはすべて、
「人材への投資」です。
人材への投資を惜しまない企業ほど、
採用力が高まり、定着率が向上し、生産性も高まるという好循環が生まれます。
まとめ|制度を整えることが目的ではない。「人が辞めない会社」をつくることが目的
今回の調査は、大企業の取り組みを示したものですが、その本質は企業規模に関係ありません。
中小企業だからこそ、
- 制度をつくる
- 制度を使いやすくする
- 管理職が理解する
- 社員が安心して相談できる
こうした積み重ねが、「選ばれる会社」をつくります。
社労士・採用定着コンサルタントとして私たちは、
- 採用力向上支援
- 離職防止・定着支援
- 人事評価制度の構築
- 管理職研修
- 育児・介護と仕事の両立支援制度の整備
- 就業規則・労務管理体制の見直し
まで一貫してサポートしています。
参考資料
<企業における人事労務関連制度の実施状況(一般財団法人 労務行政研究所)>
https://www.rosei.or.jp/attach/labo/research/pdf/000090978.pdf
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