近年、中小企業を取り巻く人材不足はますます深刻化しています。

建設業、製造業、介護、運送業、宿泊業、外食産業など、多くの業界で外国人材は欠かせない存在となりました。

そのような中、厚生労働省は「外国人雇用管理指針」を改正し、令和8年6月14日から段階的に適用を開始しました。

今回の改正は、単なるルール変更ではありません。

「外国人を採用する」時代から、「外国人に選ばれ、安心して働き続けてもらう」時代への転換を意味しています。

社労士・採用定着コンサルタントとして、多くの企業を支援してきた経験から言えることは、今後は外国人雇用を「労務管理」と「人材定着」の両面から考える企業ほど、人材確保で優位に立てるということです。


なぜ今、外国人雇用管理指針が改正されたのか?

今回の改正には、次の3つの大きな背景があります。

  • 外国人雇用状況届出制度の運用改善
  • 令和8年10月から施行される改正パートタイム・有期雇用労働法施行規則への対応
  • 令和9年4月からスタートする「育成就労制度」への対応

これらを踏まえ、厚生労働省は事業主が適切に外国人労働者を受け入れ、雇用管理を行うための指針を見直しました。

つまり今回の改正は、外国人材を安心して雇用し、長く活躍してもらうための基盤づくりが目的です。


社労士が考える「今回の改正で最も重要なポイント」

制度改正の内容は多岐にわたりますが、中小企業経営者が押さえておくべきポイントは次の3つです。

① 外国人雇用は「採用」から「定着」へ

これまでの外国人採用では、

「人手不足だから採用する」

という考え方が主流でした。

しかし今後は、

  • 適切な労働条件
  • 公平な処遇
  • 教育・研修体制
  • キャリア形成支援
  • 相談体制の整備

まで含めて企業の責任が求められます。

特に育成就労制度では、外国人材が一定の条件を満たせば転籍(転職)できる仕組みが導入される予定です。

つまり、

「採用できる会社」ではなく、「辞めない会社」が選ばれる時代になります。


② 労務管理の質が企業評価につながる

今回の指針では、

外国人だから特別扱いするのではなく、

日本人と同様に適正な労務管理を行うこと

が改めて求められています。

例えば、

  • 労働条件の明示
  • 安全衛生教育
  • ハラスメント防止
  • 社会保険・労働保険への適正加入
  • 賃金の適正な支払い

これらは当然の義務ですが、

今後は企業が外国人材から選ばれるための重要な評価項目にもなります。


③ 「共生」が企業経営のキーワードになる

今回の改正では、

外国人が地域や職場で安心して生活できるよう配慮することも求められています。

例えば、

  • 日本語学習への支援
  • 生活情報の提供
  • 相談窓口の整備
  • 地域との交流支援

これらは一見すると労務管理とは関係ないように思えます。

しかし実際には、

生活が安定している外国人材ほど、定着率が高いという傾向があります。


中小企業が今すぐ取り組むべき5つのポイント

① 雇用契約書・就業規則を見直す

外国人労働者にも分かりやすい労働条件となっているか確認しましょう。

必要に応じて多言語対応も検討しましょう。


② 入社後の教育体制を整備する

採用がゴールではありません。

業務マニュアルやOJT、定期面談など、安心して働ける環境づくりが重要です。


③ 人事評価制度を明確にする

外国人材も、

「何を頑張れば評価されるのか」

を知りたいと考えています。

評価基準を見える化することで、モチベーション向上と定着率アップにつながります。


④ 管理職への教育を行う

外国人雇用では、

文化や価値観の違いによるトラブルも少なくありません。

管理職が適切にコミュニケーションを取れるよう、教育を行うことが重要です。


⑤ 育成就労制度を見据えた採用戦略を立てる

令和9年4月から始まる育成就労制度では、

「育成」が制度の中心となります。

単に採用人数を増やすのではなく、

長期的に育成・定着させる仕組みづくりが企業競争力を左右します。


社労士・採用定着コンサルタントとして伝えたいこと

外国人雇用は、もはや「人手不足を補うための選択肢」ではありません。

企業の成長を支える重要な経営戦略です。

私たちが支援する企業でも、外国人材の定着率が高い企業には共通点があります。

  • 経営理念が共有されている
  • 人事評価制度が整備されている
  • 定期的な面談を実施している
  • キャリアパスが明確である
  • 日本人社員と外国人社員が互いに尊重し合う職場文化がある

このような企業では、外国人材だけでなく、日本人社員の定着率も高くなる傾向があります。


まとめ|外国人雇用の成功は「採用」ではなく「定着」で決まる

今回の外国人雇用管理指針の改正は、法令対応だけを目的としたものではありません。

「外国人材を受け入れる企業」から、「外国人材に選ばれる企業」へ転換するための第一歩です。

今後は、採用だけでなく、教育、評価、労務管理、キャリア形成までを一体的に整備した企業が、人材不足の時代を勝ち抜いていくでしょう。

社労士・採用定着コンサルタントとして、私たちは、

  • 外国人雇用管理体制の構築
  • 就業規則・雇用契約書の整備
  • 人事評価制度の構築
  • 定着支援・管理職研修
  • 育成就労制度への対応支援

まで一貫してサポートしています。

外国人雇用は「採用活動」ではなく、「企業の未来をつくる経営戦略」です。今こそ、自社の受け入れ体制を見直し、「選ばれ、定着する会社づくり」に取り組んでみてはいかがでしょうか。

参考資料

<リーフレット 外国人雇用管理指針改正の主なポイント(令和8年6月14日、令和8年10月1日、令和9年4月1日適用の改正について)>
https://www.mhlw.go.jp/content/001707303.pdf

<外国人雇用はルールを守って適正に(令和8年6月版)>
https://www.mhlw.go.jp/content/001261967.pdf

〔確認〕これらのリーフレットやパンフレットが掲載された厚生労働省の専用ページはこちらです。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/jigyounushi/page11.html

ドリームパーソル社労士事務所
代表 野田 千秋

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