「求人を出しても応募が来ない。」
「採用してもすぐに辞めてしまう。」
「AIの普及で仕事はどう変わるのか分からない。」
こうした悩みは、もはや日本だけの問題ではありません。
2026年6月、スイス・ジュネーブで開催されたG7労働雇用大臣会合では、各国が共通して直面する課題として、
- 質の高い雇用(Quality Employment)の促進
- ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の強化
を主要テーマに議論が行われました。
採択された共同声明(コミュニケ)では、AI時代のスキル習得、高齢者の就労促進、キャリア形成支援、労働者の権利保護、公正な競争環境の整備などが重要課題として掲げられています。
社労士・採用定着コンサルタントとして、この会合から最も強く感じたことは、
世界の人事戦略は、「人を集める競争」から「人が成長し、長く活躍できる環境をつくる競争」へ大きく転換しているということです。
「質の高い雇用」とは、給与が高いことではない
「質の高い雇用」と聞くと、高給与や手厚い福利厚生を思い浮かべる方も多いでしょう。
しかし、国際的に使われるこの概念は、もっと広い意味を持っています。
例えば、
- 安心して働ける雇用環境
- 公正な評価と処遇
- 成長できる教育機会
- ワーク・ライフ・バランス
- 心身ともに健康に働ける環境
- 将来のキャリアが描ける職場
こうした要素を含めて「質の高い雇用」と呼びます。
つまり、
給与だけでは人は定着しない時代なのです。
「ディーセント・ワーク」が企業の競争力になる
今回の会合で繰り返し取り上げられた「ディーセント・ワーク」とは、ILO(国際労働機関)が提唱する「働きがいのある人間らしい仕事」を意味します。
これは単なる理想論ではありません。
実際に採用・定着支援を行う中で感じるのは、社員が会社を辞める理由の多くは給与ではなく、
- 人間関係
- 評価への不満
- 将来への不安
- 成長実感の欠如
にあります。
だからこそ、「働きがい」を高める取り組みは、採用・定着・生産性向上のすべてにつながる経営戦略なのです。
G7の議論から中小企業が学ぶべき5つのポイント
① AI時代は「人材育成」が最大の投資
共同声明では、AIに関するスキルトレーニングの推進が掲げられました。
AIは仕事を奪う存在ではなく、社員の能力を高めるためのツールとして活用する視点が重要です。
AIを使いこなせる人材を育てる企業ほど、競争力を高めることができるでしょう。
② 高齢者が活躍できる会社は強い
G7では、高齢者の労働市場への参加促進も重要テーマとなりました。
少子高齢化が進む日本では、高齢社員の経験や技術は貴重な経営資源です。
年齢で判断するのではなく、役割や能力を活かせる職場づくりが求められます。
③ キャリア形成支援が離職防止につながる
「この会社で成長できる。」
そう思える社員ほど、会社に残ります。
教育研修や資格取得支援、人事評価制度の整備は、社員の成長意欲を高め、離職率の低下につながります。
④ 公正な処遇が企業ブランドを高める
働き方や属性に関係なく、公平な評価と処遇を実現することは、採用市場での企業価値向上にもつながります。
多様な人材が安心して働ける会社ほど、求職者から選ばれる企業になります。
⑤ 「働きがい」は経営理念から生まれる
働きがいは制度だけでは生まれません。
社員が、
「自分の仕事が社会の役に立っている。」
「会社の理念に共感できる。」
そう感じられる職場文化こそが、エンゲージメントを高めます。
社労士・採用定着コンサルタントとして伝えたいこと
今回のG7労働雇用大臣会合は、世界の労働政策を議論する場ですが、そのメッセージは中小企業にも共通しています。
これからの企業経営では、
- 人を採用すること
- 人を育成すること
- 人が辞めない環境をつくること
これらを一体的に考える必要があります。
私たちが支援する企業でも、
- 人事評価制度を見直した企業
- 管理職研修を実施した企業
- 定期面談を制度化した企業
- 経営理念を浸透させた企業
では、採用力だけでなく定着率や生産性の向上という成果につながっています。
まとめ|「働きがい」が企業の未来をつくる
G7が掲げた「質の高い雇用」と「ディーセント・ワーク」は、決して大企業だけのテーマではありません。
人材不足が続く今だからこそ、中小企業こそ取り組むべき経営課題です。
これから選ばれる企業は、
- 給与が高い会社だけではありません。
- 福利厚生が充実している会社だけでもありません。
社員が成長を実感し、安心して働き、長く活躍できる会社です。
社労士・採用定着コンサルタントとして私たちは、
- 人事評価制度の構築
- 採用・定着支援
- 管理職育成
- 就業規則・労務管理体制の整備
- エンゲージメント向上支援
まで一貫してサポートしています。
「人を大切にする経営」は、理念ではなく、これからの時代を勝ち抜くための最も重要な経営戦略です。
参考資料
<G7労働雇用大臣会合がスイスで開催され、長坂厚生労働副大臣が出席しました>
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_73701.html
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