物流2024年問題から見える、これからの企業経営に必要な視点
令和8年7月10日、経済産業省から、「物流効率化法に基づく調査結果」および「トラックドライバーの1運行当たりの平均拘束時間に関する調査結果」が公表されました。
今回の調査結果では、物流効率化に向けた取組が進む一方で、依然として中小企業が向き合うべき課題も明らかになっています。
特に注目すべきポイントは、
- トラックドライバーの拘束時間が減少していること
- 荷待ち・荷役時間の削減が進んでいること
- 企業間連携や業務改善への取組が今後さらに重要になること
です。
物流問題は運送業だけの課題ではありません。
製造業、建設業、小売業、卸売業など、物流に関わるすべての企業に影響する経営課題・労務課題です。
今回は、社会保険労務士の視点から、中小企業経営者が押さえるべきポイントを解説します。
トラックドライバーの平均拘束時間は10時間13分へ改善
今回の調査によると、トラックドライバーの1運行当たりの平均拘束時間は、
10時間13分
となりました。
また、そのうち、
荷待ち・荷役等時間は2時間2分
となっています。
前回調査(令和6年度)と比較すると、
- 平均拘束時間:▲1時間33分
- 荷待ち・荷役等時間:▲1時間16分
と、大きく改善しています。
これは、物流業界全体で進めている、
- 荷待ち時間の削減
- 荷役作業の効率化
- 配送計画の見直し
- 荷主企業との連携
などの取組成果と言えます。
物流改善は「運送会社だけの仕事」ではない
中小企業経営者の中には、
「物流問題は運送会社の課題」
と考えている方もいるかもしれません。
しかし、今回の調査結果からも分かるように、物流効率化には、
- 荷主企業
- 倉庫業者
- 運送事業者
- 発注側企業
すべての協力が必要です。
例えば、
- 納品時間の調整
- 発注ロットの見直し
- 荷役作業の分担
- 業務フロー改善
などは、荷主企業側の協力なくして実現できません。
物流改善は、単なるコスト削減ではなく、
従業員の働き方を守るための人事労務改革
でもあります。
人手不足時代に求められる「働きやすい職場づくり」
物流業界では特に、
- 長時間労働
- 人材不足
- 若手人材の採用難
- 離職率の高さ
が大きな課題となっています。
しかし、これは物流業界だけの問題ではありません。
多くの中小企業でも、
「求人を出しても応募がない」
「採用しても定着しない」
「社員の負担が増えている」
という悩みがあります。
これから企業が選ばれるためには、
仕事量を増やす経営から、働き方を改善する経営への転換
が必要です。
社労士が考える中小企業の物流・働き方改革3つのポイント
① 業務の見える化を行う
まず取り組むべきことは、
「誰が」
「どの業務を」
「どれだけ時間をかけているか」
を把握することです。
業務時間を分析することで、
- ムダな作業
- 属人化している業務
- 改善すべきポイント
が見えてきます。
② 長時間労働を前提としない仕組みづくり
人手不足だからこそ、
「頑張って長時間働く」
という考え方から脱却する必要があります。
例えば、
- 業務分担の見直し
- シフト改善
- IT・DX活用
- マニュアル整備
によって、一人当たりの生産性を高めることが重要です。
③ 人材定着につながる人事制度を整える
物流改善の最終目的は、
社員が安心して長く働ける会社づくり
です。
そのためには、
- 明確な評価制度
- キャリアアップ制度
- 教育制度
- 適正な賃金制度
- 就業ルールの整備
が欠かせません。
「働きやすい会社」は、採用市場でも大きな強みになります。
社労士から経営者へのメッセージ
物流効率化法への対応は、単なる法対応ではありません。
これからの企業経営に求められるのは、
「人が辞めない仕組み」と「生産性を高める仕組み」を同時につくること
です。
物流改善、働き方改革、人材確保はすべてつながっています。
企業が成長し続けるためには、
- 業務改善
- 人材育成
- 労働環境整備
- 適正な評価・処遇
を一体的に進めることが重要です。
社労士は、法令対応だけでなく、企業の成長を支える「人事労務のパートナー」として、採用・定着・制度づくりを支援しています。
よくある質問(FAQ)
Q1.物流効率化法は運送会社だけが対応すればよいですか?
A.いいえ。
物流効率化は、運送会社だけでなく、荷主企業や倉庫業者など物流に関わるすべての企業が取り組むべき課題です。
Q2.物流改善は人事労務と関係がありますか?
A.大きく関係します。
荷待ち時間や長時間労働の削減は、従業員の健康管理、働きやすさ、離職防止につながります。
Q3.中小企業が最初に取り組むべきことは何ですか?
A.業務の見える化です。
現在の仕事の流れや時間を把握することで、改善ポイントが明確になり、生産性向上につながります。
参考資料
<物流効率化法に基づく調査結果の公表及びトラックドライバーの1運行当たりの平均拘束時間に関する調査結果の公表について>
https://www.meti.go.jp/policy/economy/distribution/bukkoho-survey.html
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